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2015 年 8 月 13 日時点で、Qualcomm Incorporated の子会社である Qualcomm Global Trading Pte. Ltd. は、CSR 社の買収を完了したことを謹んでご報告申し上げます。
詳しくは、プレスリリースをご覧ください。

Bluetoothは、もともと低電力、低帯域幅でデータを伝送するためのソリューションとして設計されました。A2DPは、技術的には2178 kbpsを達成することができますが、実際には実用的な観点から、データ処理能力は500 kbps未満に制限されています。

 

これには、2つのメリットがあります。まず、伝送するデータ量が少ないという事は電力も少なくて済むので、バッテリの寿命を延ばすことができるということです。もう1つは、少量のデータを伝送することで、多くの帯域幅が利用可能になり、データパケットをより確実に受信できるようになるということです。

 

Bluetooth経由でワイヤレスオーディオを伝送する際の課題は、圧縮されていないCDクオリティーのオーディオに対し、1.411 Mbpsの帯域幅が必要となることです。そのため、Bluetooth経由で伝送するのに適した大きさに圧縮するためにaptX®ようなオーディオコーデックが必要になります。オーディオコーデックは、ソースデバイス(スマートフォン、メディアプレーヤー、PCまたはコンソール)でオーディオをエンコードした後、レシーバーデバイス(スピーカー、ヘッドセットまたはサウンドバー)でデコードします。

 

aptX®のビットレート圧縮率は4 : 1なので、4車線の道路が1車線の橋に合流する状況を考えてみてください。橋の手前の料金所で、4車線の車が1車線に合流し(つまりエンコード)、橋を渡ります。橋を渡ると、料金所がもう1つあり、ここで、1車線が再び4車線の道路に戻ります(つまりデコード)。

 

この例で、橋の両端にある料金所の役割を果たすのが、aptX®オーディオコーデックになります。aptX®の他にも、SBC、AAC、MP3のようなコーデックがありますが、これらは、オーディオデータを処理してBluetooth経由で伝送するのに、少々強引な圧縮技術を用います。これらの他のコーデックでは、重要でないと判断されたオーディオデータを切り捨て、限られた音声帯域幅を再生する音響心理学的なコーディング処理が使用されます。

 

先ほどの橋の話に例えると、SBC、AACおよびMP3は、通過する車が搭載できるガソリンの量を制限する料金所と言えます。最初の料金所を通過する際に制限を超える分のガソリンを捨てなければならないため、反対側の料金所を通過する際に燃料タンクは必ずしも空とは限りませんが、橋を渡る前に搭載していた量からは大幅に減っていることになります。さらに、反対側の料金所に到達すると、捨てたガソリンは取り戻すことはできず、ガソリンが永久に戻ってくることはありません。

 

一方、aptX®の場合、高度なADPCM原理を利用してオーディオの全周波数をエンコードするため、Bluetoothを介して伝送されたオーディオは、スピーカーやヘッドセット、サウンドバーでデコードされると、CDクオリティーの高音質なオーディオとして再生されます。つまり、aptX®を使用すると、最初の料金所でガソリンを捨てる必要はないのです。

 

他のBluetoothオーディオコーデックに対してaptX®が優れているもう1つの点は、レイテンシが極めて低いこと、つまり、Bluetoothを介して伝送される映像とオーディオのずれが極めて少ないということです。オーディオの遅延は、ビデオやゲームアプリケーションで最も目に付くものであり、俳優の声が唇の動きと一致しない場合やゲームのアクションとオーディオにずれがある場合、エンドユーザーは大きな違和感を感じます。

 

少し技術的に説明すると、レイテンシとは、ソースデバイスでオーディオをエンコードし、Bluetooth経由でオーディオを伝送して、レシーバーでデコードするのに要する時間です。先ほどの橋の例に戻りますが、レイテンシは車が最初の料金所を通り、橋を渡り、反対側の料金所を出るまでにかかる時間と言い変えることができます。

 

aptX®は、他のオーディオコーデックと比べてより迅速に車を通過させることができます。レイテンシはわずか40msです。一方、SBCやAACのレイテンシは100ms~500msです。各料金所を通過するのに時間がかかると、橋を渡る時間も長くなります。

 

簡単に説明すると、aptX®の仕組みはこのようなものです。実際は橋の例では説明しきれない複雑な技術的な要素がたくさんありますが、オーディオコーデックについて大まかにお分かりいただければ幸いです。